第3章 友情か
ぼんやりと空を眺めるていると、屋上のドアが開く音がした。
彼女が来たのだろうか。
そう思い、ドアのある壁の向こうへと視線を向ける。
意外にも放課後の屋上を利用する人は少なく、この2ヶ月、彼女以外がここへやって来るのを見た事がなかった。
そのせいか、私もすっかり彼女が来たのだと思っていた。
「橘先生?」
しかし、そこへ現れたのは養護教諭の愛美先生だった。
「こんな所で吸ってないで、喫煙室に行ったら?」
「…いえ、ここが落ち着くんです。」
優しく微笑みながら、愛美先生はこちらへと近付いてくる。
意表を突かれ、私は完全にうろたえてしまっていた。
こんな事は初めてだったが、ここは学校の屋上だ。
もともと誰が来てもおかしくはなかった。
今まではたまたま運が良かっただけだ。
しかし、小松加奈がここにいなかった事が唯一の救いだろう。
私一人であれば、ここでタバコを吸っていたとしても、さほど問題にはならない。