第3章 友情か
腕時計を見ると時刻は午後5時を回っていた。
今日、彼女は欠席だっただろうか。
そんな事を思いながら、タバコの煙を吐き出す。
こうして放課後の屋上でタバコをふかす事が日課になってしまったのは私だけではなかった。
小松加奈。
彼女もまた、登校した日には決まって放課後の屋上でタバコをふかしていた。
あれから彼女は学校へ来るようになった。
欠席の日もあったが、今のところ進級には問題のない程度だ。
しかし、彼女とは未だにこれといった深い話をした事はなかった。
物陰に座り、タバコを1本吸う。
吸い終われば、彼女はそのまま屋上を出て行ってしまう。
話題と言えば天気の話くらいなものだった。
それでも、私と過ごす事は嫌ではなかったのだろう。
時々ではあったが、笑顔を見せる事もあった。
私が佐久間さんと過ごす事で心癒されていたように、彼女も私と過ごす事で心に何か変化をもたらしていたのなら…。
そんな事を思うのは自惚れすぎだろうか。