第27章 生きる事を選んだ
一礼し、ステージを降りかけた時だった。
「ヤリマン!!」
どよめく生徒達の中から、一際大きな声が聞こえた。
その言葉に驚いたのか、一瞬にして静まり返る生徒達。
男子生徒の悪ノリだろう。
まるで悪者を吊るし上げる正義のヒーロー気取りだ。
しかし、それならば私も言わせてもらおう。
演台へと戻り、上に置かれたマイクスタンドからマイクを外した。
それはアイヴィーのライブで見た高杉さんの様に。
右手に握るマイク。
大きく息を吸込んだ。
「好きな男とセックスして何が悪いんだよ!?」
マイクをステージへと叩きつける。
ゴンッという大きな音とハウリング。
呆然とする生徒達。
慌てる教頭。
存在感の無い校長。
なぜか拳を突き上げている田辺先生。
その横で泣いている愛美先生。
目立たぬよう生きてきた私は、その場にいる全員の突き刺さるような視線を受けながら、さっそうとステージを降りた。
そしてそれは…とても気分が良かった。