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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第27章 生きる事を選んだ


暖房の無い肌寒い体育館。

全校生徒が整列する中、教頭に名前を呼ばれてステージへと上がる。

今まで目立たぬように生きてきた私にとって、こんなにも大勢の前で挨拶をするのはこれが二度目だ。

一度目は、この高校へ赴任した時だった。



あの頃は…それなりに夢や希望があっただろうか。

いや、私には目の前の仕事を淡々とこなすだけの日々だった。



ステージの中央に置かれた演台に着き、軽く一例する。

目の前に広がる生徒達の目は、どれも好奇に満ちていた。

指を指しながら笑い出す男子生徒達。

「キモい。」と言ったのは2学年の飯田理沙達か。

「静かにしろ!!」と、田辺先生が柄にも無く声を荒げたが、生徒達のどよめきは収まる事がない。



こんな事だろうとは思っていた。

挨拶は手短に。

そもそも誰も私の言葉など聞きたくないだろう。



「数学を担当していた橘です。

一身上の都合により、今年度で退職する事になりました。

短い間でしたが、この学校で教師をさせて頂いた事はとても良い思い出です。
お世話になりました。

皆さんもお元気で、頑張ってください。」






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