第27章 生きる事を選んだ
私と佐久間さんの噂は一向に収まる気配がなく、廊下を歩けば私は“淫乱”扱いだ。
とくに2学年の飯田理沙のグループからは罵声を浴びせられた。
そんな状況を見て、教頭は「退職届を書いておいてもらえませんか?」と言った。
これは村瀬先生が退職した事も少なからず影響していたようだ。
同じ年度に、教師が不純異性交遊で噂になるなど、あってはならない事だったのだろう。
それならば、早く退職して学校を去って欲しい。
そんな教頭の気持ちも理解できる。
そもそも私は教師になる事が夢であった訳ではない。
何となく教師の道を選んでしまっただけだ。
正直、こんな仕事に未練などなかった。
辞めて学校の風紀が保たれるのならば、私はよろこんで辞めてやる。
しかし、彼女の高校生活を側で支えてあげられなくなるのが心残りだった。
2021年3月25日。
終業式を迎えた今日も、彼女は無断欠席をしたようだ。