第27章 生きる事を選んだ
彼女は学校に来なくなった。
電話をしてもメッセージを送っても、返ってくるのは“ごめん、忙しい”の一言だけ。
進級出来る事は確かだが、こうも欠席が続くと心配になってしまう。
また変な気を起こしてはいないだろうか。
人知れずどこかで倒れてはいないだろうか。
彼女への想いは“親心”のようなものだ。
一度だけ、彼女の自宅へも行ってみたが、対応してくれた母親は「帰って来てませんよ。」の一点張りだった。
17歳の娘が何日も家に帰らないなど、私ならいても立ってもいられなくなる。
それこそ警察に捜索願を出すだろう。
分かってはいるが…彼女の母親は彼女に興味が無い。
あんな家に帰る必要などないと思う。
しかし、彼女はまだ17歳。
部屋を借りるにも、バイトをするにも保護者の存在が必要だ。
彼女には伝えたい事があった。
電話やメッセージなどではなく、きちんと顔を見て。
彼女は驚くだろうか。
私は2021年3月31日をもって退職する。