第25章 雨はやさしく
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放課後の保健室。
中で仕事をしているであろう愛美先生と話すべく、ドアをノックするタイミングをうかがう。
愛美先生にはどうしても真実を打ち明けたかった。
「聞きたくない。」と言われようとも、私は全てを話すつもりだ。
私は…愛美先生を失いたくはない。
初めて出来た親友と呼べる存在だ。
きちんと向き合いたいと、強く思う。
ドアをノックすると、中から「どうぞ。」と愛美先生の明るい声が返ってきた。
数日前に見た愛美先生の曇り顔。
それを思い出し、身体が強ばる。
しかし、ここで引き返すわけにはいかない。
意を決してドアを開けると、机の上の書類へ向かう愛美先生と目が合った。
その表情は少し驚いているように見える。
「愛美先生、私に少し時間をくれませんか?
きちんと…愛美先生には話したいんです。」
相変わらず…大切な時ほど言葉が出てこないと思う。
まるで覚えたセリフを大きな声で言う学芸会のよう。
しかし…
これが今の私の精一杯だ。