第25章 雨はやさしく
そんな私の姿を見て、愛美先生は戸惑いつつも少しだけ表情を緩めた。
「…私も橘先生と話したい。
この前は、混乱してて…突き放すような言い方しちゃってごめんなさい。
ゆっくり…聞かせてくれないかな?」
愛美先生のその言葉に、私は笑顔を抑える事が出来なかった。
まるで初めて二人で食事をしたあの日のよう。
あの日も、勝手な苦手意識から壁を作っていた私に愛想をつかさずにいてくれた愛美先生に…心から感謝した。
「じゃあ、今晩はいつもの焼き鳥屋に行きませんか?」
「うん。モツ煮込み…食べたいな。」
いつの間にか、私達は互いの顔を見ながら笑い合っていた。
今日は全てを打ち明けよう。
佐久間さんとの事…そして高杉さんの事を。
私達の友情は終わらない。
そう強く確信した。
【雨はやさしく】おわり