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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第25章 雨はやさしく


高杉さんは缶ビールを開けると窓際のソファーへ腰かけた。

昨日からこの部屋で1人、騒ぎが落ち着くのを待っているのか。

缶ビールを飲む口元には無精ひげが蓄えられていた。



「月島ちゃんがしばらくここにいろって言うの。
退屈すぎて曲出来ちゃった。

“引きこもりの歌”。
一応ラブソングなんだけど。」



そういつものように笑う高杉さんを見て…私は何を言えば良いのか。



先ほどまで頭にあった言葉達はどこかへ消えてしまっていた。



胸を締め付ける想いだけがただただ溢れてくる。



瞬きをすると、瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちた。

わなわなと震える手を強く握りしめる。

高杉さんの顔が涙で歪んでいく。



どうしてだろうか。



大切な時ほど言葉は出てこない。



「…どうして?」



押し潰されそうな喉からかろうじて出た言葉はそれだけだった。



どうして、高杉さんは私を…佐久間さんを助けてくれたのか。

どうして、自分が犠牲になるような事が出来たのか。

どうして、高杉さんは母と出会ったのか。



そして…どうして高杉さんは母と別れ、私達とは別の生活を選んだのか。






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