第25章 雨はやさしく
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タクシーを降りる。
ホテルのフロントを足早に通りこし、エレベーターに乗り込んだ。
初めて入るラグジュアリーホテルに圧倒されていた。
仕事帰りのため、安物のスーツ姿。
誰かに声をかけられるのではと緊張がつきまとう。
エレベーターを降り、佐久間さんから受け取ったメモに書かれたルームナンバーの部屋の前へとやって来た。
ここに高杉さんがいるはずだ。
緊張からか、チャイムを押そうと伸ばした手が震えている。
ついにこの日がやってきたのだ。
私は今、高杉さんと…
いや、実の父親と向き合わなければならない。
聞きたい事は山ほどあった。
なぜ高杉さんは母と別れたのか…。
いや、それ以前の出会いから聞かせてもらいたい。
娘であった頃の幼い私を…覚えているのだろうか。
私が生まれた時…高杉さんは何を思ったのか。
そして、今回の倉田理子との熱愛報道。
まずは…感謝の言葉を伝えなければ。