第25章 雨はやさしく
「…変?」
「ううん。」
「昨日…切ってもらったの。」
「似合ってる。」
「カットモデルって分かる?」
「…うん、なんとなく。」
「昨日、原宿で声かけられて…。」
恥ずかしそうにうつむく彼女がたまらなく可愛く思えた。
北海道から帰って来てからは、なかなか時間を共有する事が出来なかったが、彼女に訪れた変化がとても嬉しい。
もともと、彼女にはもっと外の世界を見て欲しいとは思っていた。
学校と自宅以外の…この広い広い世界を。
「先生と髪型似ちゃったね。」
「そうだね。」
「私さ…」
「え?」
彼女は突然、持っていたカイロを私の冷えた頬にピタリと押し付けた。
そのあまりの温かさに思わず身体が飛び跳ねる。
そんな私を見て、彼女は笑い出す。
「私は何があっても先生の味方だから。」
彼女の笑顔はとても眩しく…
あの日、病室の窓から差し込んでいた日差しにも匹敵するほどだった。