第24章 言葉足らず
「“内縁の妻”というのは語弊がありますが、私と佐久間さんは同棲をしています。
恋人関係になったのは1年ほど前です。
高杉さんはよく私達の住むマンションへ来て、一緒に食事をする仲でした。
今まで黙っていて…申し訳ありませんでした。」
そう頭を下げた私に、田辺先生は「話してくれてありがとうございます。」と言った。
「いや、僕も橘先生を責めたかった訳じゃないんです。
もし僕が橘先生の立場だったら…やっぱり簡単に口外は出来ない。
ただ…愛美先生はどうでしょうか?
今朝、生徒達の噂を耳にして驚いていました。
僕には言えない事でも、愛美先生には打ち明けていると思っていたので。」
田辺先生の言う通りだ。
田辺先生が私を責めずにいてくれた事は素直に嬉しかった。
しかし…私がこの話を一番に伝えなければならないのは、いつも側で支えてくれていた愛美先生だ。