第24章 言葉足らず
やはりそうであったかと身体からは力が抜けた。
高校生の拡散力など凄まじい。
これはもう、校内全体に広まっていると思った方が良いだろう。
今まで目立たぬようにと心掛けていたが…もうそんな事を言っている場合ではない。
「僕も最初は何かの間違いだと思いました。
そんな事あるわけないと。
でも、思い出したんです。
僕が酔っ払ったふりをして橘先生の自宅に押しかけた日…あの日いた男の人は高杉さんでしたよね?
ただ似ているだけだと思い込もうとしましたが…声が…仕草が、僕の知っている高杉さんでした。
僕は高杉さんに憧れているんです。
間違うはずが無い。」
「まさか高杉さんとも…」と言いかけた田辺先生の言葉をかき消すように「違います!!」と声を荒げてしまった。
今ここで、真実を話すべきだろう。
いや、もっと早く打ち明けるべきだった。
このまま高杉さんの関係までをも疑われてしまうのは耐えられそうもない。