第24章 言葉足らず
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職員玄関を入り、数名の男子生徒とすれ違う。
向こうから挨拶をされれば返す程度。
ここでは誰も私に興味などない。
しかし、今朝はどこか違う。
男子生徒達の視線を背中に感じた。
いつもは感じる事の無い突き刺さるような視線。
思わず振り返りそうになってしまったが、何となく予想はついていた。
「同棲なんて毎日ヤリまくりじゃん?キモッ。」
「相手、普通のオッサンだろ?」
男子生徒達の言葉に、背中からは冷たい汗が流れた。
どうして…学校の生徒にまで知られてしまっているのだろう。
週刊誌が発売になるのは3日後だ。
もしかすると…ネットやSNSではすでに話題となっているのか。
だとしても、一般人である私の名前や勤め先が特定されるなど可能なのだろうか。
佐久間さんの熱狂的なファンが…いや、そんな陰湿な人などいない。
平静を装い、私は足早に職員室へと向かった。