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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第2章 高校教師


プロ野球選手という夢に敗れた少年時代の話は、男にとってあまり良い思い出ではないのかもしれない。

先ほどの戸惑った表情もそのせいだったのだろうか。

そう思いながら、おみそ汁を飲む。

ふと、男の食器を見るとほとんど料理は残っていなかった。

食べ終わってしまえば、男がここにいる理由はもう無い。

きっと…次にここへ来る事も無い。

なぜだろう。

急に寂しさが胸を襲った。



「俺、佐久間だから。」

「…え?」

「佐久間俊二。俺の名前。
言ってなかったよね。
さっき先生に“あなた”って呼ばれて気付いた。」



まるで心を見透かされていたようだ。



男について私が知っていたのは年齢と職業だけだ。

“次”がないのなら、それでも良いと思っていた。

しかし、こうして名前を教えてくれたという事は、“次”があると思ってもいいのだろうか。



恋ではない。

恋などではない。

しかし、わずかに胸の高鳴りを感じた。






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