第24章 言葉足らず
「お二人もご存じだとは思いますが、昨今の不倫スキャンダルは今後の活動に大きな影響を与えます。
幸い、アイヴィーはライブを主軸に活動しておりますので、さほど影響は無いかと思われますが、すでに一部撮影済みのドキュメント番組は放送が見送られる可能性もあります。」
「まぁ、そうだよね。」
淡々と話を進めていく2人の横で、私はただうなずく事しか出来ない。
“これは私達の問題”
そう言ってみせたが、今後どうやって佐久間さんをサポートしていくべきなのか…正直分からない。
今はマネージャーである月島さんの話を聞くだけで精一杯。
こんなにも頼りない恋人で申し訳無いと、部屋着の裾を強く握りしめた。
「神田美咲さんの所属する芸能事務所へも、この話は伝わっているはずです。
どうしますか?
高杉さん達には私から話しておきますか?」
「いや、メンバーには俺から直接話すよ。」
「分かりました。」と、うなずく月島さんには見えぬよう、部屋着を握りしめていた私の手に、佐久間さんの手が優しく重なった。