第2章 高校教師
亮太と出会ったのは大学1年の春だった。
今思えば、明るく友達も多かった亮太と、地味で特に目立つ存在では無い私はとても不釣り合いだった。
何となく言葉を交わす様になり、何となく連絡先を交換し、何となく会う機会が増え…夏が終わる頃には恋人関係になっていた。
女子校出身の私にとって、亮太は全てが“初めて”の人だった。
もちろん、“最後”の人だとも思っていた。
いずれは結婚し、いつかは子供が生まれ、平凡ではあるが幸せな毎日を送るのだと…。
“私達”ならきっと上手くいく。
そう信じて疑わなかった。
それなのに…
亮太は別の女性を選んだ。
初めて訪れた恋人との別れ。
今まで一番近くにいてくれた亮太は、もうどこで何をしているのかも分からない。
別れるという事は、もう相手の人生に関わる事が出来ないという事。
私の人生から…亮太はいなくなったのだ。