第2章 高校教師
目覚まし時計が無くとも、毎朝決まって同じ時刻に目が覚める。
6時10分。
今日も昨日と同じ1日が始まる。
顔を洗い、簡単な化粧を済ます。
顎のラインで切り揃えた髪は、ただ“楽だから”という理由だけだ。
キッチンに立ち、昼食の弁当を作る。
高校時代からの習慣で、とくに面倒と思った事は無い。
トーストを焼き、インスタントコーヒーを飲みながら朝刊に目を通す。
いつも気になるのは天気予報くらいなものだ。
グレーのスーツに着替え、家を出る。
7時15分。
“職場”まではバスで40分。
亮太と別れて9ヶ月。
あの日から…私は毎日を惰性で生きている。