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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第23章 過去の女


「きっと、あのまま俊二と付き合っていたら…私も潰れていたと思う。

今のキャリアがあるのは、あの時の決断があったおかげ。」

「それは…」

「私は、人生の全てを“女優・神田美咲”に捧げたの。
結婚でさえも。

後悔なんてしない。
そう思って、無我夢中で…この仕事を続けてきた。

でもね…」



そっと顔を上げた神田美咲の瞳には涙がたくわえられていた。



黒目がちな大きな瞳。

瞬きをした瞬間、一滴のしずくが頬を伝った。

長いまつ毛がわずかに濡れる。



これほどまでに美しい泣き顔を…私は知らない。



「私の中には常に俊二がいるの。

笑っちゃうでしょ?

あんなに傷付けた俊二が…私の心から一向に出ていってくれないの。

ほんの小さな事よ。

食事はしてるかな?とか…よく眠れているかな?とか。

愛してくれる優しい人が見付かると良いなって、思いながら生きてきたの。」






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