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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第22章 スクリーンの中で


◇◆◇



タクシーを降り、マンションのエントランスを進む。

スーツケースを引きずる手には凍傷の後がまだ残っていた。

3日間の入院生活は思いがけない休みとなったが、ベッドでダラダラと過ごしていただけなので、正直仕事をしている方が楽だった。


結局、北海道に5日間もいたのだから、車で道内を一周する位は出来たかもしれない。

しかし、それはまた今度だ。



彼女を自宅へと送り届け、両親に謝罪した。

隣でそれを見ていた彼女の目が少しだけ笑っていた。

「また秘密の旅行に行こうね。」

そう言っているようだった。



佐久間さんには入院していた事を話していない。

心配させたくなかった。

命に別状はなかったのだ。

冬のオホーツク海に飛び込んだという経験はかなり貴重ではあるが、かすり傷を負った位の気持ちしかない。



佐久間さんに会うのは実に1週間ぶり。



まずはあの少年のような眩しい笑顔で「おかえり。」と笑って欲しい。






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