第22章 スクリーンの中で
「先生も寂しかったんだろうな。
それなのに、私は先生に自分の寂しさをぶつける事しか出来なかった。
先生は教師で、私は生徒。
色んな葛藤があったんだと思う。」
「うん。」
「村瀬先生がいなくなってから気付いた事があるの。」
「何?」
「私は村瀬先生の事を何も知らない。
1年も一緒にいたのに。
村瀬先生はあまり自分の事を話さない人だと思ってたけど、それはただ、私が聞かなかっただけなんだと思う。」
そう言うと、彼女はそっと瞳を閉じた。
村瀬先生がいなくなってからのこの半年、彼女は自分なりの答えを出そうともがいていたようだ。
「あの日…何て最低な人なんだろうって思った。
でも、今は悔いだらけだよ。」
長いまつ毛を濡らし、涙がこぼれ落ちる。
彼女が出したこの恋の答えは…激しい後悔だったようだ。
私は彼女の頬を両手で包み込み、涙を拭う。
両手に伝わる温もり。
彼女が生きていてくれた事を改めて感じ、胸が熱くなった。