第22章 スクリーンの中で
「…先生、起きてる?」
彼女が目を覚ましたようだ。
点滴のチューブに気を付けながら、ゆっくりと起き上がる。
クリーム色のカーテンを開けると、ベッドに横たわったままの彼女と目が合った。
「今、先生の夢見た。」
「…私の?」
「ううん。村瀬先生。」
「そう。」
美しかった彼女の白い肌は凍傷で赤くただれていた。
それと同時に、素足で雪道を歩いた事による足の裏の切り傷。
その姿に彼女が本気で命を絶とうとしていた事が伺えた。
「“ごめん”って言われた。」
「村瀬先生が?」
「うん。“上手く愛せなくてごめん”って。」
「そっか。」
「私の方こそごめんなさいなのに。」
「え?」
「上手く愛せなかったのは私の方なのに。」
彼女の言葉は意外だった。
彼女は…
村瀬先生が出した答えに傷付き、行き場を無くした想いに苦しんだ末…自ら命を絶とうとしたのだと思っていた。
上手く愛せなかったとはどういう意味なのか。