第21章 あなたがおしえてくれたこと
「1ヶ月…3ヶ月に1回でも良い。会おうよ。」
「出来ません。」
「私…もうワガママ言わない。
先生を困らせたりしない。
彼女にも迷惑かけない。
だから…これからも会ってよ。」
こんなにも声を出して泣いたのは初めてだった。
乱れる呼吸。
痺れる手足。
泣いて村瀬先生の気が変わるなら…私はいくらだって泣いただろう。
カーステレオから流れるのは優しいYURIの歌声。
その歌声をかき消すように、私は泣き続けた。
村瀬先生はそれ以上何も言う事はなかった。
もともと多くを語らない人。
それでも、最後くらいは「愛してる」くらいの嘘でもついて欲しかった。
自宅の前に止まった車。
泣きじゃくる私の頭をそっと撫でながら、村瀬先生は「それじゃあ駄目なんだよ。」とつぶやいた。