第21章 あなたがおしえてくれたこと
「今ならまだ戻れます。」
「戻れないよ。」
「いいえ、戻るんです。
今ならまだ、誰も僕達の関係を知らない。」
「もう、知られたって良いよ。
そしたら学校辞めるから。」
まるで駄々をこねる子供のようだと分かっていようとも、私の口からは村瀬先生を繋ぎ止めようとする言葉しか出てこない。
どうしてこんな事になってしまったのだろうか。
村瀬先生と恋人が別れる事を望んでしまったからだろうか。
それとも…
「私と“彼女”…どっちが大事?」
あの言葉が、村瀬先生を追い詰めてしまったのだろうか。
今は…
村瀬先生との関係が終わってしまうなど耐えられない。
例え恋人と結婚してしまおうとも…この“特別”な関係だけは終わらせたくはなかった。