第21章 あなたがおしえてくれたこと
「今度は…いつ会える?」
「そうですね、来週は用事がありますので。」
「仕事?」
「いえ、恋人と旅行です。」
帰りの車の中、私の背中からは冷たい汗が流れた。
心臓はドクドクと鼓動を早め、呼吸が乱れる。
こんなにも動揺した事は今までに無い。
村瀬先生には恋人がいた。
知りたくなかった。
それならば、私との関係は一体何なのか。
問い詰めてはいけない…と思った。
本当は気付いていた。
私達の関係など、いつ終わりが来てもおかしくない。
とてつもなく“もろい”物だと。
「旅行から戻ったら、また会いましょうか。」
「…会えるの?」
「はい。」
先生にとって私は…どんな存在なのだろう。
その日カーステレオから流れていたYURIの歌声は、どこか悲しそうに聴こえた。