第2章 高校教師
「いいよね、こういう食事。
何か気取ってないっていうか。」
「喜んでもらえたのなら良かったです。」
「最近忙しくて外食続きだったから余計に嬉しいよ。」
「お仕事…忙しいんですか?」
「今ちょっとね…。
でも、今日はもう何もないよ。
だから、少しゆっくり出来る。」
「え?」
「先生ともう少し話したいなって思ってたから。」
子供みたいに無邪気な笑顔を見せながら、そんな言葉を簡単に言えてしまう。
本来であれば、私の最も苦手とするタイプだ。
そもそもそんな言葉を言われた事などないが、間違いなく「誰にでも言ってるんでしょ?」と返したくなってしまう。
しかし、男の持つ独特の雰囲気はこちらのペースを完全に乱してくる。
心が動揺する。
何てつかみ所がないのだろう。
そう思った瞬間、男と視線が交わった。
目をそらせずに、不本意にも見つめ合ってしまう。
顔は赤くなっていないだろうか…。
何となく頬の辺りが熱くなったような気がした。