第21章 あなたがおしえてくれたこと
いい加減で愚かな私を、村瀬先生は優しく優しく抱いてくれた。
頬を撫でる指。
重なる唇。
肌の感触や髪の匂い。
私の“初めて”が村瀬先生だったなら…。
そんな後悔と激しい熱。
行為が終わってからも、村瀬先生は私の身体を抱き締めてくれていた。
「…今度、いつ会える?」
「そうですね、一週間後なら会えると思います。」
「敬語…やめてよ。」
「いえ、小松さんとは“教師と生徒”なので。」
“教師と生徒”
そう言いながらセックスはする。
ひどく傷付く言葉のはずなのに…私はそれを許し、受け入れてしまった。
村瀬先生は私の全て。
村瀬先生がいなければ…私はもう息すら出来ない。
「タバコ吸っても良いですか?」
「…うん。」
ベッドの上、タバコをふかす村瀬先生の横顔。
その横顔はもう…私の事を見ていないようだった。