第19章 泡の魔法はもう解けた●
「まなみん、私達アイヴィーが始まるまでJIG聴きたいから行ってくるね。」
「うん。また後でね。」
愛美先生の学生時代からの友人であるユカさんも今日は一緒だ。
レコード会社に務めており、アイヴィーの大ファンであるユカさん。
私も以前、愛美先生と三人で食事をした事があった。
今思えば、私にとってのアイヴィーの師匠は愛美先生とユカさんかもしれない。
しかし、今日はもう一人アイヴィーのファン…というよりは高杉さんのファンである田辺先生も一緒だ。
少しの気まずさを感じながらも、音楽フェス独特の雰囲気にのまれ、気が付けばフランクに話しをしながら音楽に身体を揺らしていた。
気さくなユカさんの存在も大きかった。
どうやらユカさんと田辺先生はアイヴィー以外にも共通の好きなバンドやミュージシャンがいるらしい。
「何か飲もうか?」
「はい。」
隣のステージへと移動する田辺先生とユカさんの後ろ姿を見ながら、私達はドリンクカウンターへと向かった。