第19章 泡の魔法はもう解けた●
「アイヴィーはEARTH STAGEで25時からだから…もう少し時間あるね。」
愛美先生は携帯電話でタイルテーブルを確認しながら、「もう少しお酒に酔ってから聴きたいから、何か飲む?」と微笑んだ。
毎年年末に幕張メッセ国際展示場の各ホールで行われている屋内音楽フェス。
正直、アイヴィーの武道館公演にしか行った事の無い私にとってはとても場違いな所へ来てしまったという感じがしていた。
しかし、メインステージであるEARTH STAGEでトリを飾るアイヴィー。
今回のアルバムを引っ提げてのライブツアーはどこもチケットを手に入れる事が出来なかった。
そのせいもあって、愛美先生に誘ってもらえた時には二つ返事でOKをした。
例え毎日顔を合わせようとも、毎日同じベッドで眠ろうとも、毎日連絡を取り合おうとも…私はアイヴィーのライブが観たいと思う。
ステージに立つアイヴィーを…佐久間さんを観たい。
アイヴィーの音に溺れたい。
そして…高杉さんの歌を聴きたいと思う。
私は結局…the IVYのボーカリストとしての高杉誠のファンなのだ。