第19章 泡の魔法はもう解けた●
「…あんっ。」
ドクドクと血液が集まるのを感じながら、私は佐久間さんの指で簡単にイってしまった。
押し寄せる快感と心地好い脱力感。
このまま佐久間さんと一つになりたいが、バスタブの中でそんな事は可能なのだろうか。
「顔見せて。」
「…恥ずかしいです。」
「美波が気持ち良くなった時の顔が見たいの。」
佐久間さんの手に促され、ゆっくりと向かい合う。
泡のついた胸。
火照った肌。
佐久間さんの肩へと手を伸ばす。
額を付け、見つめ合った。
佐久間さんの濡れた睫毛がとても綺麗だ。
柔らかな黒髪を撫で、そっと唇を重ねた。
思えば、こんなにも明るい場所で抱き合う事自体が初めてだった。
不慣れな私を思いやってか、佐久間さんはいつも寝室の間接照明だけを付けてくれていた。
明るいオレンジ色の明かりに包まれたバスルーム。
気が付けば、泡風呂の泡も今はほとんど溶けて無くなっていた。