第18章 同じ数の月を見ていた
「本当にすみませんでした。
何とお詫びをしたら良いのか…。」
「いえ、もう結構です。
私も勝手に自宅まで連れて帰ってしまったので。」
昼休みの喫煙室。
珍しくタバコが吸いたくなり喫煙室へとやって来たところ、田辺先生と鉢合わせてしまった。
何とも気まずそうな田辺先生ではあるが、正直私の頭は高杉さんでいっぱいだ。
「お酒、本当は強かったんですね。」
「はい…。」
「酔ったふりをしていたんですか?」
「した…かもしれないです。」
「私にその気がなければ犯罪ですよ。」
「はい…。」
責めるつもりは無かったが、田辺先生を追い詰めるような事ばかりが口をつく。
そんな私に、田辺先生はタバコを消しながら申し訳無さそうにこう言った。
「橘先生は、僕に気があったんじゃないんですか?」
「え?」
「僕は…橘先生が僕を“男性として”受け入れてくれていると思っていました。」