第18章 同じ数の月を見ていた
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あの日食べたカレーライスの味を、私は生涯忘れる事はないだろう。
「サクちゃん、帰って来たら食べさせてね。」と、高杉さんはカレーライスを食べ終え、部屋を出て行った。
何も言わず、私の頭をクシャクシャと撫でて…。
高杉さんの帰宅後、リビングのソファーの上に箱が置かれている事に気が付いた。
高杉さんと暮らしていた頃、よく受け取っていたハイブランドの箱。
中身は靴だった。
ロサンゼルスで見つけたと言っていたあの靴か…。
よく、私の靴のサイズを覚えてくれていたと思う。
思いもよらぬプレゼント。
しかし、私の気持ちは未だ揺らいだままだ。
このまま目を背けて生きていく事など出来ない。
しかし、私には高杉さんと向き合う勇気がない。
私は高杉さんから逃げるかのように、仕事に没頭するだけの毎日を送る事にした。