第18章 同じ数の月を見ていた
「入らないの?」
高杉さんの言葉に身体が強ばる。
何も無かったようになど…私は振る舞えない。
しかし、このままここで動かずにいる訳にもいかない。
「カレー食べる?」
「え?」
「カレー作ったの。」
「何で…ですか?」
「何でって…サクちゃん帰り遅くなるだろうから。
夕方に来てずっと待ってたのに、誰も帰って来ないんだもん!!
やっと帰って来たと思ったら知らない男と抱き合ってるし、何なんだよ!!」
ふて腐れた口調。
腕を組み、高杉さんは不満気に唇を尖らせる。
私の感じている居心地の悪さを…この人は感じ無いのだろうか。
「早く入りなよ。
お腹空いてるでしょ?」
リビングへと戻る高杉さんの後ろ姿を見つめる。
“高杉さんが本当の父親だったんですか?”
そう聞いてしまえば全てが分かる。
それなのに…
こんな時ほど言葉は出ない。