第18章 同じ数の月を見ていた
私は…私達は一体何をしているのだろう。
ここは恋人である佐久間さんと私が暮らす部屋だ。
田辺先生の腕が私の身体をきつく抱き寄せる。
先ほどまで酔いつぶれていた人間の行動とは思えない。
“僕、お酒強いんですよ。”
その言葉は本当だったようだ。
こうするためにわざと酔ったふりをしたのか。
だとしたら…何てあざとい男なのだろう。
しかし、不思議と腹立たしさは無い。
それは今まで積み重ねてきた関係があるからだ。
田辺先生は…もしかして私に好意を持ってくれていたのだろうか…。
いや、そんなはずは無い。
私達は職場の同僚であり、友人だ。
だとすれば…今のこの状況は何なのか。
私はそっと田辺先生の背中へと腕を回した。
もしかすると…田辺先生はお酒に酔うと貞操観念がめちゃくちゃになるタイプの人間なのかもしれない。
「まだ気持ち悪いですか?」
「いえ、大丈夫です。」
田辺先生の背中をそっとさする。
今は冷静な対応をしなければ。
もちろん、私は絶対に流されたりなどしない。