第18章 同じ数の月を見ていた
フラつく田辺先生を床に寝かせる。
何とか玄関へとたどり着けた事に安堵した私はその場に座り込んでしまった。
こうして自分よりも身体の大きな男性を部屋へ運ぶのは二回目ではあるが、やはり重いものは重い。
もうこんな事は二度とするものか。
お酒が弱いのならば、自分の適量というものを把握して欲しい。
こんなにも気持ち良さそうに玄関で寝転がっている田辺先生には悪いが、次回からはノンアルコールビールでも飲んでもらおう。
靴を脱ぎ、リビングへ向かおうと腰を上げたその時だった。
眠っていたはずの田辺先生の手が、私の腕を強く掴んだ。
突然の事に驚き、田辺先生の顔を覗き見る。
いつも眩しいほどの笑顔のせいで目が細くなる田辺先生。
そんな田辺先生は、真剣な眼差しを浮かべながら私をじっと見つめていた。
「あっあの…」
そう言いかけた時だった。
「…僕、お酒強いって言ったじゃないですか。」
田辺先生はゆっくりと起き上がると、私の身体を強く抱き寄せた。