第18章 同じ数の月を見ていた
お酒のせいで赤くなった田辺先生の頬。
“斬新で良い”と言われ、驚いた私の頬も思わず赤くなる。
田辺先生の発言こそが私には“斬新”だった。
今までこの話をした事があるのは佐久間さんと…高杉さんだけ。
三人三様の答えを聞く事が出来て良かったと思う。
私が教師を志した理由などネガティブなものだとばかり思っていたが、他人からしてみれば案外面白いものなのかもしれない。
「でも、僕知ってますよ。」
「え?」
「橘先生が勉強だけじゃなく、生徒の心のフォローをしている事。」
「心のフォロー…ですか?」
「2年A組の小松さんです。
時々一緒にいますよね。」
「あっ…はい、彼女は特別なんです。」
「特別とは?」
「田辺先生もご存知だと思いますが、彼女は今学校で孤立しています。
力になりたいんです。
彼女にはきっと私しかいないから…。」