第18章 同じ数の月を見ていた
「でも、倉田理子は知ってます。
神田美咲とダブル主演で医療系のドラマをやっていましたよね。
そのドラマは毎週チェックしていました。」
「あのドラマも面白かったですよね。
主題歌はアイヴィーでしたし。」
「続編を期待してるんですけど…。」
「そうですね、僕もまた観たいです。
実は神田美咲の方が好きなんです。」
「私もです。凛として素敵ですよね。」
こうして田辺先生と共有出来る話題があって良かったと思う。
倉田理子が教師役の学園ドラマも是非、観てみたい。
いつものお酒が美味しく感じるのは、きっと隣で微笑む田辺先生のおかげだろう。
初めての男友達。
盛り上がる私達に、尾崎君は新しいお酒を作ってくれた。
「そういえば、橘先生はどうして教師になったんですか?」
「私は…数学が嫌いじゃなかったからです。」
「“好き”じゃなくて“嫌いじゃない”?」
「そうです。つまらないですよね。」
「いえ、斬新で良いと思います。
その考え方。」