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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第17章 秋桜が咲くのは湿った土の匂い


「ねぇ、小松さんは何を聴いているの?」

「私は…。」

「って聞いても分からないかも。ごめん。」

「YURIだよ。」

「え?YURIって…。」

「先生と同じ北海道の函館出身の女性アーティスト。」

「うん。名前だけは知ってる。」



彼女の好きな音楽が分かり、少しだけ嬉しい気持ちになった。

あまり自分の事を話さない彼女が教えてくれた大切な事。

忘れないよう、きちんと胸に刻んでおこうと思う。



しかし、そんな私の心とは裏腹に…彼女は泣き出しそうな表情を浮かべ、ポツリとこう言った。



「村瀬先生が…好きだったんだ。」



切れ長の美しい瞳が涙で滲んでいく。

唇を噛み締めているのは、彼女なりの強がりか。

返す言葉を見付けられない私は、「そうなんだ。」と応えると黙りこくってしまった。



「村瀬先生が車でよく聴いてたの。」

「そう。」

「CD借りて…私も聴くようになって。」



彼女の口から村瀬先生の名前が出てきたという事は…一体何を意味しているのだろうか。






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