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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第17章 秋桜が咲くのは湿った土の匂い


彼女が何か言いかけた気がし、片耳だけイヤホンを外す。



「先生、何聴いてるの?」



少しぶっきらぼうな口調。

しかし、私なんかに興味を持ってくれた事は単純に嬉しい。

彼女の瞳を見つめながら、出来る限りの笑顔で応える。



「the IVYってバンドの新しいアルバム。」

「へぇ。先生、前にもそのバンドの事好きだって言ってたもんね。」

「うん。アイヴィーが歌ってるドラマ主題歌、調べてくれたもんね。」

「そうだっけ?」



彼女はイヤホンを片方外し、話を続けてくれた。



「音楽聴いてるとさ、まわりの声が聞こえないの。
噂話も、傷付くような言葉も。

だから、学校でも家でもずっとイヤホンで音楽を聴いてる。」



彼女は今も、クラスどころか学校全体で孤立していた。

そんな彼女が見付けた自分を守る唯一の術。

何て痛々しいのだろう。

そこまでしてでも、退学の道を選らばずに在学を決めた彼女は立派だと思うが、無理だけはして欲しくない。



正直、2学期になってからの彼女は成績も上がっていた。

喜ばしい事ではあるが、どこか無理をしているように思えてならない。






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