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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第17章 秋桜が咲くのは湿った土の匂い


「そんな目で見ないでよ。」

「え?」

「私ってそんなに“哀れ”?」

「そんな事…。」

「先生、すぐ顔に出るからさ。」



哀れんだ目で彼女を見てしまっていただろうか。

彼女は遠くを見つめたまま黙り込んでしまった。



そんな彼女の心を癒す言葉など…私に思い付くわけがない。



ただこうして隣で同じ景色を見る。



何て無力なのだろうと、胸がキリキリと痛んだ。



「学校…辞めると思った?」

「…うん。」

「大丈夫。辞めないから。」

「本当?」

「うん。本当。
だから、もう心配しなくても良いから。」



彼女はそう淡々と話す。

その声には全く覇気が感じられない。



「…私に構わないで。」



戸惑う私の横をすり抜け、彼女は屋上を後にする。



退学の意志が無いという事を確認出来たのは良かったが…はたしてそれは彼女の本心なのだろうか。



彼女の美しい切れ長の瞳。



2020年9月7日。

この日、彼女の瞳から光が消えた。






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