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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第2章 高校教師


それは甘くスパイシーな香りだった。

自分以外の誰かがここにいたという証。

昨日の男が枕代わりに使っていたのだろう。

“こんなによく眠れたのは久しぶり”と男は言っていたが、硬い床の上で本当に眠れたのだろうか。



昨日は仕事に間に合ったのだろうか。

タクシーはすぐにつかまっただろうか。

そんな事を考えながら、もとの場所へとクッションを戻す。

名前も知らない年上の男。

44歳の美容師。

少し舌足らずで、穏やかな口調。

柔らかに微笑む男の顔が頭に浮かんだ。



その瞬間、心がトクンと温かくなった。

ずいぶんと忘れていた感情。



何も変わらない。

淡々と作業をこなすかのような1日。

私にとっては当たり前の日常。



そんな日常が…

今日はとても愛おしいものに感じた。






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