第16章 ウラオモテ●
「顔、赤くなってる。」
そうクスリと笑いながら私の頬へキスをくれる。
恥ずかしさから顔を覆いたくなったが、佐久間さんはそれを許してはくれない。
私のシャツのボタンを外していく指先。
右手の小指に光る指輪がとても懐かしく思えた。
まるで“初めて”を思い出した。
私達が初めて結ばれたのは…カーテンの隙間から朝日が射し込むこの寝室だった。
“帰って来たらしよう”と約束をしていたのにも関わらず、私は怖気付いてしまい、愛美先生の部屋へと泊まらせてもらった。
始発でマンションまで帰ってきた私を待っていたのは、飼い主の帰りをま待ちわびていた犬のような笑顔の佐久間さんだった。
私達の“初めて”の大切な思い出。
佐久間さんは私のシャツのボタンを外し、あらわになったオレンジ色のブラジャーを少しだけずらしながら舌を滑り込ませた。
「…っあ。」
ふざける素振りで私の乳首を舌先で転がす。
からかわれているようでもあるが、ただ私の反応が見たいだけなのだと思う。