第16章 ウラオモテ●
「良い子。」
佐久間さんは嬉しそうに顔をクシャクシャにさせながら、私の唇に優しいキスをくれた。
そんな事をされたら…私は何でもしてしまいたくなる。
佐久間さんの背中へと腕を回し、キスをせがむ。
すぐさま佐久間さんは私の唇へと口付け、髪を撫でてくれた。
髪の毛から伝わる佐久間さんの指先の熱。
急いで作ったカレーライスの事など忘れてしまうほど、私は夢中で佐久間さんの唇を求め続けた。
「…舌、出して。」
「え?」
「こうやって。」
唇を離し、佐久間さんは小さく開いた口から舌を覗かせた。
その表情があまりにも可愛いかったが、私は佐久間さんの言う通りに舌を差し出す。
「可愛い。」
佐久間さんはフフッと優しく笑うと、私の舌を吸い上げるように口内へと含んだ。
佐久間さんは口の中で、私の舌へと熱い抱擁を繰り返す。
こんなにも感じてしまうキスは初めてだ。
目眩がしてしまいそうなほどの感じるキス。
佐久間さんとはもう何度も唇を重ね合わせているはずなのに、未だ新鮮な気持ちで胸がキュッと苦しくなってしまう。
ずっとこのまま…佐久間さんの唇を感じていたい。
これ以上の至福の味を、私は知らない。