第16章 ウラオモテ●
こんな事ならば、せめて買ったばかりの下着を身に付けていたかった。
白いYシャツに膝丈のタイトスカート。
肌色のストッキング…。
仕事を終え、急いで材料を買いに行き、着替えもせずにカレーを作っていた。
ベッドに寝そべる私の白いシャツからは、薄いオレンジ色の下着が透けて見えているだろう。
「…嫌ならやめるけど?」
私の身体に覆い被さり、そう首を傾げる佐久間さんは魔性だと思う。
唇を触れ合わせようと思えば、触れ合わせる事が出来る距離。
顔に息がかかるだけで、私の腰はいやらしく疼き出す。
嫌なはずなどない。
ずっと…こうなる事を望んでいたのだ。
佐久間さんが父親なのではないかと胸を痛めた日々。
身体が…心が佐久間さんを強く拒絶した。
それでも、私は心の奥底で佐久間さんを求め続けていた。
佐久間さんに触れられたい。
佐久間さんに触れたい。
出会ったあの日から…私はずっと佐久間さんが欲しかった。