第14章 正しい答え
「高杉から、美波の事はずっと聞いてたよ。
連絡…しなくてごめんね。」
「私こそ…黙ってマンションを飛び出してごめんなさい。」
「いや、仕方ないよ。
俺の方こそ、黙っててごめん。」
「…知っていたんですか?」
「うん。」
「いつからですか?」
「初めて美波のアパートの部屋に行った時だよ。
出窓に飾ってあったお母さんの写真を見て。」
涙で言葉が詰まる。
それと同時に、行き場の無い感情に心が押し潰されそうだった。
佐久間さんは私との父子関係を知っていた。
その上で私と関係を結んだ。
正気の沙汰ではない。
しかし、どうしてだろうか…。
佐久間さんを責める気持ちにはなれなかった。
声を聞くだけで、こんなにも心が震える。
愛しさで胸が苦しくなる。
今すぐにでも会いたい。
会って抱き締められたい。
そして…二度と離れはしない。