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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第2章 高校教師






「それじゃあ、もうそろそろ行こうかな。」

お茶を飲み終え、男はようやく重い腰をあげた。

ローテーブルのそばに畳んであった黒いジャケットを羽織る。

その瞬間、フワリと甘くスパイシーな香りがした。



「この辺ってタクシーつかまるかな?」

「大きい通りに出れば走ってますよ。」

「ごちそうさま。」と、にこやかに微笑む男を玄関まで見送る。

部屋を出て行ってしまえば、もう二度と会う事はないのだろう。

先の尖った歩きにくそうな靴を履く男の背中を見つめる。

ふと、幼い頃に拾った子犬の事を再び思い出した。



「俺、帽子被ってなかった?」

「え?」

「黒い帽子。」

「いえ…見てませんけど。」



「しまったな…。」と、男は玄関の鏡に映った自分の顔を見ながら頭を抱えた。

昨日の夜、私が中庭でその姿を見付けた時には、すでに帽子など被っていなかった。

昨日あれだけ酔っていたのだから、きっとどこかで落としてきたのだろう。







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