第14章 正しい答え
「母さん…もう好きに生きなよ。」
台所に立つ母の後ろ姿が涙で滲んだ。
私がこれまで母の望んでいるであろう“正しい答え”を選択し、生きてきたように…
母も私が望んでいるであろう“正しい答え”を選択して生きてきたのだろう。
しかし、もうその必要は無い。
“美波の人生で日々、美波が選択したものは全て“正しい答え”になるんだよ。”
高杉さんの言葉を思い出す。
“だから、美波の好きな方を選べよ。
だってこれは、母ちゃんの人生じゃなく、美波の人生なんだからな。”
「母さんの人生なんだから…母さんの好きなように生きなよ。
私も…好きなように生きるから。」
うつむくと、瞳からは大粒の涙が溢れ落ちた。
白いワンピースの裾を握り、必死で泣き声を押し殺す。
これが私の出した“正しい答え”。
例え母を裏切る事になろうとも、私は佐久間さんに会いたい。