第14章 正しい答え
そんな事など望んでいない。
私はむしろ、これからは二人で支え合って生きていってもらいたい。
娘の私も成人し、こうして手を離れたのだから、再婚でも同棲でもすれば良いと思う。
しかし、母の根底にあるのは私に対しての深い愛情と、“母親として生きなければいけない”という強い意識だ。
母の人生の全ては私に捧げられたものだった。
私が何不自由なくここまで育ったのは、全て母のおかげだ。
そんな母からすれば、“恋人がいる”という事はどこか“後ろめたさ”を感じるものだったのだろう。
しかし、“後ろめたさ”を感じていたのは私も同じだ。
私がいなければ…あの日、母は恋人と堂々とデートが出来ただろう。
そして、結婚の話も出ただろう。
私がいなければ…
今でもそう強く感じている。