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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第14章 正しい答え


着替えを済ませ、母は居間へと戻ってきた。

疲れた顔に薄化粧をし、長い黒髪を一つにまとめている。

白いブラウスを身にまとった母は、ため息をつきながら私の横へと腰を下ろした。



「…仕事行くの?」

「うん。
バイトの娘に任せてきちゃったから。」

「今日くらい休んだら?」

「そんなわけにはいかないよ。
自分の店だから。」

「でも…」

「仕事してるほうが気が紛れるの。
一人でいると…辛くて。」



そう涙を浮かべる母の横顔を、私はただ黙って見ているしかなかった。



私にとっては厳格な祖父であったが、母にとっては最愛の父だ。

そんな…最愛の父を亡くした喪失感。

その痛みは計り知れない。



正直、こればかりは分からない。

父親という存在を知らない私には、父親を亡くすという事の大きさが分からない。



私にとって…それは佐久間さんという事になるのだが、佐久間さんへの想いは…やはり異性への愛情だ。



残念だが、私には母の痛みを“全て”理解して受け止めるという事は不可能なのだ。






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