第14章 正しい答え
窓から入り込む涼しい風は、白いレースのカーテンを揺らしていた。
故郷である北海道函館市の実家。
母は冷蔵庫から麦茶を出し、コップへと注ぐ。
少しやつれた母の横顔。
見ぬふりをし、私は奥の和室で喪服を脱いだ。
祖父の四十九日法要のため、三日ほど休みを取り、再びこの街へ戻ってきた。
うだるような暑さの東京とは違い、北海道の夏は過ごしやすい。
汗ばむ肌に心地好い風を感じつつ、白いワンピースへと袖を通す。
「飛行機…間に合う?」
そう言いながら、母は居間のテーブルへと麦茶の入ったコップを置く。
「ありがとう。
間に合うから大丈夫だよ。」
着替えを済ませ、居間のソファーへと腰を下ろした。
「母さんも着替えてきたら?」
「うん…そうだね。」
二階の部屋へと着替えに向かう母の後ろ姿を見つめながら、テーブルの上に置かれた麦茶へと手を伸ばす。
水滴がつくコップを両手で持ち、冷たい麦茶を喉に流し込んだ。